この高度外傷センターが設立されるまでの島根県には、大けがをした人を専門的に見る体制がなかったそうです。よって以前は、交通事故や大きなエネルギーが加わった外傷事故で命を落とす人の割合が多い県とされていて、田舎で事故や事件も少なく平穏で豊かな生活環境があると思っていたのですが、危険な事態に対応できない反面を持ち合わせた環境であったことに気が付きました。

まず大けがをしたら救急車が呼ばれます。救急隊は状況にもよりますが地域で救急患者の受入れ体制のある施設(この地域では邑智病院の場合が多い)へ搬送されます。そこで医師が症状を診断して高度外傷医療が必要な場合、救急車もしくはドクターヘリで高度外傷センターへ救急搬送となります。
また、島根大学医学部付属病院には「ドクターカー」が配備されており、天候不良などでヘリが飛行できない場合は、医師と看護師が現場へ駆けつけることもできるそうです。

私はそこに運び込まれ、即座にCTスキャンが行われ、若くて目の鋭い高度外傷を専門とする医師が画像診断されるとともに、緊急治療を専門とする5〜6人の医師・看護師に囲まれて全身がくまなく診察・応急処置されたのですが、皆さんの役割分担と手際の良さに敬服しました。専門家とはこうでなくてはいけません、私の好きな「サイレントプロフェッショナル」の皆さんに感謝します。
ハイブリッドERでの診断は、頭部に大きな骨折はあるが脳には達しておらず、緊急な救命手術は必要なさそうなのでE-ICU(救急集中治療室)へ移され、体力の回復を待って本格的回復手術に備えることになったみたいです。正式な病症名は「顔面多発骨折」で「顎骨骨折観血的整復固定手術」を行いました。
「E-ICUでは、呼吸不全、循環不全、肝不全や多臓器不全、多発性外傷などの集中治療が必要な患者さんを受け入れています。
具体的には、意識障害又は昏睡、急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪、急性心不全(心筋梗塞を含む)、急性薬物中毒、ショック、重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)、広範囲熱傷、大手術、救急蘇生後、その他外傷、破傷風等で重篤な状態、脳死判定目的ならびに脳死判定された臓器提供者意思表明患者などになります。」
と言われるのが一般的な紹介ですが、ここでも救命専門スタッフが患者に対応しています。E-ICU室には集中治療用ベッドが15〜20床並べられ、これを5〜6人のスタッフで24時間直接目視しています。どこかで患者の状態に異変が発生すると、更に多くの医師・看護師が集まり処置にあたっています。

監視も少ない窓際出入口の近くになったので、2重扉の出入口を抜け出して携帯電話をかけていたらE-ICU室の中に戻れなくなり、看護師さんに怒られてしまいました。
ご迷惑をおかけした皆さんに、一礼。
この様に記憶が曖昧なのは、各所で担当診察された医師からその都度に診断や治療の説明を受けたのですが、初めての体験なので覚える暇がありませんし、本人は自分の外傷が見えないので理解できません。日頃からいざという時のことを色々と考えていても、すべては「おまかせ」することになります。
私が年頭に決めた目標(心がけ)は「更に深く考えてみる」ですが、「すべては風のまえの塵におなじ」で、考えても始まりません。やってみなければ分かりません。これは果敢ないこの世を悲観しているのではなく「失敗することもあるが良くなる(数倍の成功を達成する)こともある」と言うことです。
私は、かなりの失敗と少ない成功を繰り返して、すこしばかり要領が悪い人生を歩んでいるなと考えることもありますが、これを不幸だと思うことはありません、チャレンジします!!!。
顎骨骨折観血的整復固定手術
顔面には、表情筋があります。別名、顔面筋と呼ばれ、その名称どおり顔の豊かな表情を作り出す筋肉で、顔面骨折時やその手術治療時に、この表情筋を切断してしまうことがあるみたいです。
手術を担当した教授は、手術後の検診で何回もこの表情筋の動きをチェックして、私が 「にっこり表情」 をするたびに 「この手術は100%成功した」 と言っていました。
また、島根大学の学生さんが治療現場の研修に来られるのですが、その都度この表情筋について教授と私が実演を交えて説明を繰り返していたので、いつの間にか私も表情筋に詳しくなり、これなら私一人でも学生さんに実演指導ができるのではないかと考えるほどになりました。
まだリハビリ中ですが、徐々に にっこり笑顔が素敵な私になれそうです。

強力磁石を近づけてもくっつかないので鉄ではないみたいですが、触るとごつごつするので、きっとター〇ネー〇ーの様に拳銃の玉が当たったらカチンと跳ね返えし、中の金属が見えるのではないかと思います。
以上、詳しいことは本人までお問い合わせください。End